あれから一週間、俺は直江のマンションに行ってない。学校ではそりゃ会うが、どうしても個人的に会う気になれなかった。 ちょくちょくかかってくる電話も、忙しいと言って切ってしまう。 そういえば、あいつは飯どうしてんだろう。彼女が作ってくれてんのかな。 「げ…日直かよ」 日直が回ってきたのに気づいたのは昼休みだ。しかもタイミングの悪いことにペアの奴は今日、学校を休んでいる。 日誌は担任の所で貰わなくちゃいけないんだ。 「俺も行く?」 「あーいや…大丈夫」 大変ありがたい申し出だが、それはなんだか女子のようで恥ずかしい。少し心配そうな譲を残し、俺は重い腰を上げた。 昼のガヤガヤとした職員室の中を、若干緊張して入る。 「今日はあなたが日直なんですね」 だが日誌を手渡した直江は、拍子抜けするくらいいつも通りだった。もう彼女についてハッキリ答えを聞いてしまおうか。 「…うん」 「あっそうだ」 高耶さん、と周りをはばかり直江は声を小さくする。 「桃は好き?」 「?好きだけど」 「よかった。昨日実家から桃が沢山届いたんです。今日一緒に食べませんか?」 「食べる!」 しまった。桃に釣られて思わず即答してしまった。俺のアホ。 直江は「では放課後」と言って嬉しそうに笑った。 「あ、おかえりー」 「おう」 カタンと椅子を引いて譲の後ろに座る。 「千秋は今ね、呼び出され中だよ」 「え?なんかしたのかアイツ」 「一年の女の子が来て、ちょっといいですか!って」 「うっぜぇ」 告白かよ! next |